老眼になると近くを見るのに眼鏡が必要になります。
特に若いときに眼のよかった方は、眼鏡をかけるのが煩わしく感じられます。

眼鏡をかけたくない、眼鏡をかけないで過ごしたい。

こういうニーズに合わせて出てきたのが、多焦点眼内レンズです。
一般に使われている眼内レンズは単焦点眼内レンズで、手術後にピントの合う位置が一カ所に決まってしまいます。
つまり、遠方にピントを合わせると、近くを見るときは老眼鏡が必要でした。
逆に本が読めるように近方に焦点を合わせ、遠方を見るときは眼鏡を使う必要がありました。

多焦点眼内レンズ

遠近両用眼内レンズだと、眼鏡なしで遠くも近くも見えるようになります。
ただ、コントラストが若干落ちるため、遠方のみに限って言えば普通の単焦点の方がよく見えます。
そのため以下の方には単焦点レンズをおすすめします。

  • 緑内障・眼底出血等があって術後に視力があまり出ない方
  • 乱視が強い方:最近は乱視付き多焦点眼内レンズもあり結果良好です
  • 眼鏡をかけるのがいやでない方
  • ごく精密な作業をする方
  • 遠くの小さい物を見る仕事の方

遠近両用眼内レンズはどなたにでも適合したレンズではありません。
ただ、条件さえ合えば、手術後に眼鏡が不要になりますので理想的なレンズといえるでしょう。
また、遠近両用眼内レンズは保険適応になっていません。
当院では通常の保険適応の手術代にプラスして

  • 二焦点レンズでは 20万円 (税込み)
  • 三焦点レンズでは 28万円 (税込み)

乱視付き多焦点レンズでも上記の金額となります

単焦点の見え方

多焦点の見え方

当院での老視の取り組み

当院では、1991年から多焦点眼内レンズを使っており、30年以上の実績があります。
その結果、多焦点眼内レンズが向く方と、向かない方がいることを把握しております。多焦点眼内レンズが向かない方には、単焦点レンズをお勧めしています。

monovision法

多焦点眼内レンズが向かない方には、老眼対策として、monovision法をおすすめすることがあります。これは、片眼は遠くが見えるように、他眼は近くが見えるように眼内レンズを選択する方法です。
ただ、このmonovision法も、すべての方に合うわけではありません。monovision法ではバランスの悪くなる方、疲れを感じる方もいらっしゃいます。
逆に、手術では老眼は矯正せずに、手術後に眼鏡をかけた方が良い方も沢山存在します。そういう方には手術後に、裸眼で遠くが見えるようにレンズを選択します。
一方で、裸眼で本が読めるように、近視を残しておく方がよい人も多くいらっしゃいます。

当院では、お一人お一人に適した方法で眼内レンズを選び、老眼矯正の方法をご提案しています。
手術前にご希望やわからないことがあるときは、遠慮なく何でもご相談ください。